最愛HONEY
「(龍ちゃん!)」
さすがに声には出せないから、じーっと見つめて念力で振り向かせよう。
「……!」
やった!
ふいにこちらに視線を向けた龍ちゃんと、バッチリ目が合う。
ここでアイコンタクト…と思ったのに…
「……。」
眉を寄せて“迷惑”オーラ全開でひと睨み。…って、なんで?
それもほんの一瞬のこと。
すぐにプイッと、顔を背けられてしまった。
ひどっ…
龍ちゃんってば、なんであんなに素っ気ないかなぁ?
バレちゃいけないとは言え…って言うかさ、むしろ、あの態度のほうが不自然でしょ?
他のスタッフにはやさしいじゃん?笑顔じゃん?
…もうっ。
昨夜、ベットの中ではあんなに甘かったくせに…同一人物だとは思えないよ。まったく。
「……“塾長”ってさ、」
「へっ?」
怒りを込めて、龍ちゃんの背中を見送っていた私は、ヤマトの言葉で我に返る。
「すげー若いよな?しかも、かなりのイケメンだし。」
「え…?」
「さっき挨拶に行ってびっくりしたよ。もっと年とったおじさんだと思ってたから。」