最愛HONEY
「あー…あの人は…」
びっくりしたのはこっちだよ。
ヤマトの口から、龍ちゃんの話題が出てくるとは…
単純に感心してるだけみたいだけど…やりにくい。
「あの人は、臨時で本社から派遣されてるだけだから…」
話題を変えるわけにはいかないもんね。
とりあえず、繋げよう。
「本当の塾長は今、休職中で…」
「そうなんだ?」
「うん。もうすぐ戻って来ると思うけど…。その人はまさに、ヤマトが思ってる通りの人だよ。」
私も数回しか会ったことないけどね。
…って言うか、焦って声が震えちゃうよぉ。
「へぇ…。でもさ、本社から来るってことは、それだけ優秀ってことだろ?」
「…へっ?」
……まだ続くの?
「ひとりで仕切れるってことじゃん?あの若さで。」
そうなの!
龍ちゃんはすごいんだよ。
入社は“コネ”だけど、その後の仕事ぶりは、社長にも認められてるの!
うーっ。自慢したいっ。
でも、できない。
「仕事はデキルし、見た目はあんなだし…。相当、モテるんだろうなぁ。」
うっ。痛いところを…
「ナオも…やっぱり、ああいうのが好みなのか?」