最愛HONEY
……え?
今まで、龍ちゃんが去っていったほうを見ながら、ぼんやり呟いてたくせに。
くるっと。
なぜか私のほうに向き直るヤマト。
「だから…年上の、仕事か“デキる”頼れる男って言うの?」
「えっと…」
「お前、年上好きだったじゃん。なんだっけ?初恋の相手も近所の“お兄ちゃん”だったとか…」
はぁっ?
私、ヤマトにそんなことまで話してたんだっけ?
恥ずかしいなぁ。
「今もそうなんじゃないかなと思って。」
……って言うか、
あれがまさに、私の初恋の“お兄ちゃん”だし。
既に“旦那さま”なわけで…
“年上”っていうよりも、私は“龍ちゃんが”好きだっただけなんだよね…
……なんて、言えない。
話題をそらすには…
「ダメだよ。ナオちゃんは“彼氏”一筋なんだから」
……へっ?
悩む私に、突然降ってきた声。
今度は、誰?
「確かに“塾長”はカッコイイけど…。ナオちゃんにはラブラブな“彼氏”がいるんだもんね?」
「赤城さん?」
いつの間に?
なぜかすぐ傍にいて、会話への参加体勢はバッチリ。
「だから、ヤマトくんも。
ナオちゃんを口説こうとしても無理だよ。」