最愛HONEY
……と、意気込んでみたものの。
シフトを見たら、あいにく私は早番で。
夕方からのヤマトとはちょうど入れ違い。
いきなり出鼻をくじかれて、どうしようかと思ってたんだけど…
「…ちょっと、いい?」
バイトを終えた私のところに、ヤマトはタイミングを見計らったように現れた。
気を利かせて、時間よりもだいぶ早めに来てくれたみたいだ。
助かったような、先延ばしにしたかったような…複雑な心境。
「昨日のことなんだけどさ…」
事務室のさらに奥。
人気のない非常階段。
もう一度、注意深く周囲を確認してから、ヤマトはストレートに切り出した。
……来た!
「一緒にいたのって…“塾長”…だよな?」
まっすぐに私を見据えて。
確認しつつも、確信しているような口調でヤマトは言った。
「俺の見間違いってわけじゃないよな?…あ。もしかして、塾長って双子だったりする?年の近い兄弟がいる…とか?」
「いや…」
「だよな。もしそうなら、逃げたりしないで、俺に紹介できるはずだもんな?」