最愛HONEY



……え?



ヤマトの言葉を理解するのに、しばらくかかった。

その沈黙を“肯定”と見なしたのか、


「…って言うかさ、塾長も塾長だよな。」


ヤマトは、私を見ながら嘲笑うように言った。


「結婚してるくせに、職場の女子大生にまで手を出すとは…」

「違っ…それは、」

「“愛妻家”なんて、聞いて呆れるよ。尊敬して損した。」


否定したいのに。

本当のことを話したいのに…


うまく言葉が見つからない。

話すことさえ困難だ。


だって…


「見た目通り、あれは相当遊んでるね。“彼女”はお前1人じゃないぞ?ナオ。」


こんなヤマト、私は知らない。

そりゃ…
私が知ってるのは“5年前の”ヤマトで。

しかも、フルネームどころか、家も通っていた学校すらよく知らなかった。


でも、ヤマトはいつもやさしかった。

明るい笑顔で、私を迎えてくれた。


他人のことを悪く言ったり、傷つけたりすることなんて絶対にしなかった。

こんな…冷たい瞳で私を見ることなんてなかったんだよ?



「可哀相に…
ナオ、お前は、遊ばれてるだけなんだよ。」


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