最愛HONEY
お前は俺のもの
―――……
――――――……
「ただいま。」
玄関を開ける音がして。
龍ちゃんの声が響いた。
……いけないっ。
もうそんな時間?
慌ててケイタイを手繰り寄せて確認してみれば、龍ちゃんの帰宅時間をとっくに過ぎていて…
いつもより遅くなったからか、珍しく「今から帰る」ってメールまで入ってた。
……うわぁ。
全然気がつかなかった。
って言うか、私…
もしかして寝ちゃってた?
ヤバイっ。
夕飯の用意もお風呂の用意も…何もしてない!
ベットから飛び起きて、リビングに急がなくちゃ…そう思ったとき……
「……ナオ?」
遠慮がちにドアが開いて。
真っ暗な部屋に廊下の明かりが射し込んだ。
「どうした?具合でも悪いのか?」
そして、心配そうに顔を覗かせる龍ちゃん。
「ううん。大丈夫。ちょっと寝ちゃってただけで…」
言いながらも、自分の声がだいぶ擦れているのがわかる。
あー…。
きっと、顔もひどいことになってるんだろうなぁ…
暗くてよかった。