最愛HONEY




「“消毒”って、そういうこと?」


そう言えば…

ヤマトと話した非常階段は、塾長室のすぐ裏にある。

窓が開いていたとすれば、声はもちろん、そこから様子を見ることだって…


それを理解した途端、顔がカァーッと赤くなって…

でも、すぐにサーッと血の気が引いてきた。

だって…


「ち…違うの、アレは…」


確かにあれはキスだけど、不意討ちって言うか…

“望まない”キスって言うか…

だからと言って、それが“事実”であることには変わりなくて…

よりによって、1番見られたくない人に見られちゃうなんて……


「…わかってるよ。」


パニック状態の私を見ながら、龍ちゃんが低い声で吐き出すように呟いた。


「アイツが一方的にした、ってことくらい、見てればわかる」

「じゃあ…」

「でも、嫌なもんは嫌だし、許せないもんは許せないんだよ!」


バン、と。龍ちゃんが怒りをぶつけるようにベットの端を叩いた。

思わずビクッとなる。


「…いいか?ナオ。俺は確かに、お前よりは“オトナ”だけど、人間的にはまだまだなんだよ」


そんな私の瞳をまっすぐに捉えて、続ける。


「だから、独占欲だってハンパじゃないし嫉妬だってする。」

「え…?」

「…頼むから、あんまり心配かけるなよ。」

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