最愛HONEY
「龍ちゃん…」
目の前にいるのは、いつもの龍ちゃんとはまるで別人。
切なげで不安げな瞳…
こんなに“弱い”龍ちゃんは初めて見た。
でも…
ものすごく、嬉しい。
たまらなく愛しく感じる。
だって…
龍ちゃんの口から、そんなセリフを聞くとは思わなかったもん。
これって、私のことをそれだけ“愛してる”ってことだよね?
うわぁ…
なんか…胸が詰まって言葉が出て来ないよぉ。
「あーっ、もうっ。」
私の視線から逃れるように、パッと顔を背けて、
「こんなカッコ悪いこと、絶対に言うつもりなかったのに…」
ボソッと呟いた。
その不貞腐れた様子が、これまた私の心をくすぐる。
なんか、龍ちゃんが可愛く見えるよ…
「あんな場面、見なきゃよかった…つーか、お前らがあんなとこで話してるのが悪いんだからな?」
ガバッと顔を上げて、またもや私をひと睨み。
……ごもっともです。
「さすがに乱入するわけにはいかないし…」
そうだよね。
あそこで龍ちゃんが出てきても、ヤマトは絶対に耳を貸さなかったはず。
それどころか、殴りかかってたかも…
「でも…あと3秒離れるのが遅かったら、俺は何してたかわかんないけどな」