最愛HONEY



―――…
―――――……



「……で、何?」


向かいに座るヤマトは、さっきからずっと私に冷ややかな視線を向けている。

それだけで怯みそうになるけど…頑張らないと。


今日こそはちゃんと話すって決めたんだから……




――バイト終わり。

私はヤマトを呼び出した。


場所は、駅前のカフェ。

こんな時間にも関わらず、賑わいを見せる店内。


でも、塾とは反対方向にあるから知り合いに会うことはない…はず。


龍ちゃんの言い付け通り、周りにちゃんと人がいる場所を選んだんだ。

……さすがに、マスクはできなかったけど。


「…昨日のことなら、謝らないから。」


重い沈黙の中、先に口を開いたのはヤマトだった。


「別に悪いことしたと思ってないし…。それに、お前はあれくらい余裕だろ?」


「えっ?」


「もっとすごいことしてるんだもんな?他人の旦那と。」



……っ!

身体がカァーッと熱くなると同時に、じわりと涙がにじんできた。


誤解を解く前に、泣いちゃいそうだよ…



「弁解なら聞かないよ?俺からしたら、不倫は不倫。本気だろうが美化しようが、許せるもんじゃないから。」



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