最愛HONEY
「迎えに来てるなら、連絡してよ」
シートベルトを締めながら、素知らぬフリして龍ちゃんを見れば…
「…別に。“たまたま”通りかかっただけだし…」
ぼそっと呟いて、私から視線を反らした。
そしてそのまま、エンジンをかける。
……ウソつき。
私が心配で後をつけてきたくせにぃ。
本当は、塾を出たときから気づいてたんだよね。
…ヤマトは全然気づいてなかったみたいだけど。
「ちゃんと言えたのか?」
「…へっ?」
「アイツ、納得してた?」
…ああ。そっか。
まずは報告だよね。
「うん。大丈夫。無事に解決しました!」
ヤマトには全部話した。
龍ちゃんのことも、結婚までのいきさつも。
ヤマトはすごくびっくりしてたけど…
「ナオが幸せなら、それでいいや」
最後はそう言って、笑ってくれたんだ。
昔と変わらない笑顔で…
龍ちゃんは、
私を救ってくれて、愛してくれて、
今でもこんなに大切に想ってくれている。
それを、ちゃんと理解してくれたみたい。
龍ちゃんに対する誤解も、ちゃんと解けた…よね?
「…あ、そうだ。龍ちゃん」