最愛HONEY
「“お疲れさま”のキスして?」
「はぁっ?」
私の言葉に、今にも発車させようとしていた龍ちゃんが、慌ててブレーキをかけた。
「お前…何言って…」
「だってなんか…ほっとしたらどっと疲れたって言うか…キスしたくなっちゃったんだもん。」
「…おかしいから、それ。」
呆れたようにため息をつく龍ちゃん。
視線は再び前方に…ってダメ。発進しちゃう。
「ねー、いいでしょ?ちょっとだけ。私を助けると思って…」
「意味わかんないし…って、おい!しがみつくなよ。運転できないだろ?」
「してくれたら離れる!」
龍ちゃんの身体にぎゅーっと抱きついて。
私はなんとか、運転させまいと踏ん張ってみる。
今、なぜか無性に龍ちゃんを感じたくて仕方ない。
離れたら負け、だ。
「あーっ、もう!今は無理っ。家まですぐなんだから我慢しろよ。」
「……帰ったらしてくれるの?」
「はっ?」
「だったら我慢する」
家まで、あと15分弱。
本当は今すぐくっつきたいけど、我慢しよう。
その代わり…
「キスだけじゃダメだよ?」