懐かしい味
何度でも
「いつものあれを作ってくれよ」
「本当に好きだね」
日並流望(ひなみるの)は材料を用意しながら、彼氏の深町善希(ふかまちよしき)がリクエストするパウンドケーキを作る。
お菓子を作ることが好きな流望とお菓子を食べることが好きな善希は気が合い、すぐに恋人同士になり、二人は一年経った今も仲が良い。
「前から気になっていたんだけどさ・・・・・・」
「何だ?」
「どうしてそんなにパウンドケーキが好きなの?」
今までたくさんのお菓子を作って食べてもらい、一番多く作ったお菓子がパウンドケーキ。
流望の質問に善希は遠い過去を思い出していた。
「姉ちゃん、お腹が空いたよー」
「もう少し待ちなさいよ。すぐに呼ばれる」
姉が風邪を引いてしまったので、まだ幼かった善希を一人で留守番をさせるのは難しいので、一緒に病院へ来た。
病院は姉と同じように風邪で苦しんでいる人達が多く、呼ばれると思っていたら、なかなか呼ばれない。
「うーん・・・・・・まだ時間がかかりそうだね」
「そうね」
姉も待ちくたびれて、だんだんだらしなく座り始めている。溜息を吐きながら財布を出して、そこから五百円玉を善希の手の上に乗せた。
「本当に好きだね」
日並流望(ひなみるの)は材料を用意しながら、彼氏の深町善希(ふかまちよしき)がリクエストするパウンドケーキを作る。
お菓子を作ることが好きな流望とお菓子を食べることが好きな善希は気が合い、すぐに恋人同士になり、二人は一年経った今も仲が良い。
「前から気になっていたんだけどさ・・・・・・」
「何だ?」
「どうしてそんなにパウンドケーキが好きなの?」
今までたくさんのお菓子を作って食べてもらい、一番多く作ったお菓子がパウンドケーキ。
流望の質問に善希は遠い過去を思い出していた。
「姉ちゃん、お腹が空いたよー」
「もう少し待ちなさいよ。すぐに呼ばれる」
姉が風邪を引いてしまったので、まだ幼かった善希を一人で留守番をさせるのは難しいので、一緒に病院へ来た。
病院は姉と同じように風邪で苦しんでいる人達が多く、呼ばれると思っていたら、なかなか呼ばれない。
「うーん・・・・・・まだ時間がかかりそうだね」
「そうね」
姉も待ちくたびれて、だんだんだらしなく座り始めている。溜息を吐きながら財布を出して、そこから五百円玉を善希の手の上に乗せた。
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