君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】



突発性拡張型心筋症。




理佳の病名らしい文字が、
画面に大きく映し出される。




発症した時から、その時までの4年間ほどの時間を
振り返して、4年もの間に何度も命の危機を感じる出来事が起きたことを
強く主張されていた。


そしてそこから、
理佳ちゃんが逢いたいと言ったピアニスト・羽村冴香の紹介映像。


再び、理佳のシーンに戻った時は、
メイク・ア・ウィッシュの団体のスタッフに、
必死に「逢わせてほしい」とお願いしてる映像だった。

『満永理佳。小学1年生で、突発性拡張型心筋症を患い、
 18歳まで生きられないと医者に告知された少女の夢は今開かれる』

なんてナレーションが告げられる。





映し出される動画も気になるけど、
俺的には今の理佳の表情も気になって仕方がない。


チラリとみる理佳は、ちょっと挑むようにその映像を見つめていた。




その後、映像は羽村冴香が理佳の病室を訪ねてくる。

そして、いつも練習しているあのお遊戯室のピアノへと移動して、
羽村冴香が、理佳の為に一曲演奏して、その後、理佳の演奏を聴いてアドバイスをする。

そんなシーンへと繋がっていった。




『ピアニスト・羽村冴香。
 彼女との出逢いは、理佳ちゃんの大きな力になることを信じて。

 理佳ちゃんにも病気や運命に負けず、力強く生きてほしい。
 メイク・ア・ウィッシュ。

 夢は叶う。

 次回のメイク・ア・ウイッシュ……』




そんな感じで、次回予告へと続いて全ての映像が終わった。



隆雪や美加が知っていた、理佳の映像。



「こうやって、私……取り上げられたの。

 その後も、何度も命の危機って言うのを迎えたけど、
 託実くんのお父さんが、宗成先生が外国から帰って来て
 私の主治医になってくれて、少しずつ状態が落ち着くようになった。

 だけど……生きられるのは嬉しいし、ピアノを触れるのも嬉しいけど
 罪悪感も強かったんだ。


 私の家族、私が居るからバラバラになっちゃった。
 
 18歳まで生きるはずのない私が、宗成先生に出逢って冴香先生に出逢って
 こんなにも長く生きることが出来たの。

 健常者のようには行かないけど、車椅子で好きなところに行かせて貰えるのは
 やっぱり嬉しい。

 病室のベッドの上で、繋がれ続けることだけだったから」




そう言って理佳は、俺に昔話を語ってくれた。
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