君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】

地下2階。


真っ赤な絨毯が敷き詰められた廊下をゆっくりと、移動して辿りついた場所は
四方をガラスに囲まれたスタジオ。


その部屋の中で、隆雪君や託実たちは
他のメンバーと共に、私が編曲した曲を演奏してた。




「宗成伯父さま、理佳さん、いらっしゃい。
 ゆっくりしていらして。

 どうぞ、こちらの部屋に」



そう言って通されたのは、沢山のミキサーが並んだ空間。

そこに女の子が一人座って、
次から次へと何かの作業をしていく。



「いいわ。
 Ansyalは暫く休憩でいいかしら?怜」

「あぁ、構わない。
 宝珠、暁鈴、今度はSHADEの方を調整させて貰っていいか?」

「えぇ。
 怜が疲れてないなら構わなくてよ」


そんな会話の後、ガラスのドアが内側からガチャリと開いて
中で今まで演奏していたメンバーがガラスの外に出てきた。



「デューティー紀天。
 練習再開まで、向こうの部屋で私用をこなします。
 練習開始になったら呼んでください」


そう言いながら、さっきまで歌ってた男の子は
何処かの部屋へと歩いていく。


「伊吹、わかったから。
 その愛想のなさ、何とかしろって」


そう言って後を追いかけていくのは、
ドラムを叩いてた人。



その後に、託実と隆雪君が出てきた。



「親父、理佳……」

「ほらよ、託実。
 隆雪君、疲れてるだろ。
 
 差し入れだ」
 


そう言って宗成先生は、手にしてた紙袋を手渡す。


袋の中を覗き込んだ託実は、
サンドウィッチを掴み取ると、
すぐにナイロンを破って胃袋の中に収めていく。


そんな託実の姿が懐かしくて、
思わず、笑みが零れ落ちた。





「何、笑ってんだよ。理佳。

 お前も食う?
 親父がいんだし、少しくらい許可出るだろ」


そう言った託実の声の後、隣に居た宗成先生を覗き込むと
どうぞっと先生は許可してくれた。


「なら先生も貰おうかな。
 隆雪君はどれにする?」


そんな会話をしながら、それぞれが食べたいおにぎりやパン、サンドウィッチを手にして
一緒に食べる時間。


託実が退院してから考えると、久しぶりに大勢で食べられた
楽しい時間。



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