君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】
「もしもし」
「こんな時間にごめん。
今、練習終わったんだ」
「うん、もう22時だよ。
そんなに練習してたの?」
「まぁ、学校じゃこんな時間までは無理だけどな。
今、練習させて貰ってるところ
怜さん、あぁ、緋色のギター持ってた人居ただろ。
あの人が、今回の仕掛け人なんだけど
怜さんのバンドが、あそこの事務所と契約してて……
んで、あの場所が専用スタジオ。
だから何時行っても、関係者は練習させて貰えるから」
「そうなんだ……」
そんな他愛のない会話をしながら、
俺は家までの道程を、アイツの声を聴きながら帰宅した。
これからは電話掛けれる時は、遅くなるけどするからって言うのと
今、俺が任されてる学校でのことなんか、
俺の身の周りのことを、アイツに話す。
学院祭運営委員会の仕事。
各部活、各クラスの催し物。
悧羅学院の祭りは、三日間。
11月3日、4日、5日。
この3日間だけは、悧羅学院の生徒たち全員が
悧羅校の校舎へと集合する。
3日の初日は、学院生徒へのお披露目と、OB・OGのみが学院内に入ることを許される日。
4日は、学院生徒の関係者=一般客が招待される日。
5日の最終日は、午前家中のみ一般客の立ち入りが許可され、午前中で学院祭は終わり
午後からは、後片付けと衣装替えをして、後夜祭のダンスパーティーへと舞台が移される。
よって学院内に残れるものは、生徒と卒業生以外は許されない。
このルールから行くと、理佳が立ち入れるのは
4日の学院祭二日目と、5日目の最終日の午前ってことになるんだけど……
ちょっと企みたいなー。
一綺兄さん経由で、学院理事長でもある紫叔父さんの許可が貰えたら
その3日間だけ、理佳に学院の制服を着せて、
学院生活満喫されられないかなーっとか計画中。
まだ決定事項ではないから、理佳には報告なんて出来ないかけど
理佳の笑顔を見る為に、いろいろと模索する時間は俺的にも楽しかった。
「んじゃ、ゆっくり休めよ。
俺も、家についたらから風呂入って寝るよ。
明日も学校だからな」
「うん。
おやすみなさい、託実」
「おやすみ理佳」
電話を切った後、家に入って手洗いとうがいだけ済ませると
携帯電話を握りしめて、一綺兄さんの携帯を呼び出す。