君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】
殆ど練習すら出来ないまま本番を迎えたDTVTとの共演は、
沢山の人たちに支えられる形で、幕を閉じた。
本当に皆に助けられて届けられたステージ。
演奏が終わった後の拍手は、
凄く嬉しくてゆっくりと立ち上がると、深々と頭を下げる。
お辞儀をして体を起こしたときには、
疲れすぎてる体はほとんど思考が働かなくて、
よろけた体を支えてくれたのは、後ろに居てくれた託実。
「ほらっ、もう座れ。
車椅子、無理すんじゃねぇって」
そんな風に乱暴な口調で言われながら、車椅子へと座ると
もう一度、車椅子越しにお辞儀をしてステージを後にした。
「理佳ちゃんに無理させちゃったね。
少し奥で休もうか?
託実の演奏の頃にはまた連れてきてあげるから」
そうやって促されて、私はまた最初の建物へと移動していく。
少しでも何かを長くやりたいと思うだけで、
疲れてしまう体。
いろんなことが出来るようになったら、
出来るようになったで本当に、いろんな欲求が出てくる。
用意されたその場所で、仮眠をとって再びステージに戻った頃には
芸能祭も最後のステージを残すのみとなってた。
SHADEのLIVEステージ。
そしてその前に演奏する、託実や隆雪君たちの前座。
Ansyal。
私は車椅子のまま、裕先生と客席側の中央の一角に用意された席へと案内された。
ステージの上では、バンド用のドラムセットや、
アンプとかスピーカーが設置されていて、支度が着々と整えられていく。
なんでだろう……自分のステージより緊張してる。
ステージにライトがあたって、まず出て来たのは怜さんと言う人。