君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】
「裕真兄さん……お願いがあるんだ。
今の理佳の病気の状態じゃなくていい。
前に貰った資料よりも詳しく、理佳の病気のこと書いた情報が欲しい」
「託実……叔父さんには?」
「親父にはまだ言ってない。
だけど……俺はアイツの傍に居たいから、
ちゃんと理佳の病気のことも知ってたいって思うから」
理佳にどんなことが起きても、
俺自身が取り乱さないように、すぐに反応出来るように情報が欲しい。
じゃないと、これからアイツと一緒に外に出掛けるようになったら
困るから。
アイツには早く元気になって、
俺たちのLIVEについてまわって貰うんだ。
理佳は、編曲を担ってる立派なメンバーの一員だからな。
なんだったら、理佳にキーボードをさせたって構わない。
隆雪だって、理佳が演奏する分には文句なんて言わないだろ。
まだまだ……アイツとやりたいことが
沢山あるんだ。
だから……その夢を叶える時、
俺は理佳にとって何があっても、反応出来るようにちゃんとした
知識を身につけたいんだ。
親父みたいに医者じゃないから出来ることなん少ない。
だけどただ救急車を呼ぶにしても119番をして狼狽えるよりは、
ちゃんと取り乱さずにアイツの現状を話せる知識が欲しい。
「託実……今の託実が理佳ちゃんの患ってる病気のことを詳しく知ることが
託実にとっていいことなのか、悪いことなのか私には判断が出来ないよ。
私より宗成叔父さんの方が専門だよ。
託実が何を思って、理佳ちゃんの病気のことを知りたいのか説明したうえで
叔父さんに教えて貰うといいよ」
裕真兄さんは、そう言って
それ以上は、その話題に触れようとはしなかった。