君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】



「理佳の傍には最後までいる。
 そうやって俺は決めてます。

 俺は親父に比べたら何も出来ないし、
 理佳よりも年下だし、まだガキかも知れません。

 だけど……そんなガキの俺だからこそ、
 もしかしたら理佳の心に寄り添えたのかも知れないって
 俺は思ってます。

 理佳が教えてくれた、妹の代わりには俺は慣れないけど
 多分……それでも、ガキだから出来ることがあるんだと思うんです。

 今、理佳と離れること、離されることの方が俺には耐えられないから。
 明日も明後日も、明々後日も……時間が許す限りは、
 また理佳のところに訪ねてきます。


 じゃあ、今からスタジオで練習なんで、今日は失礼します」



そう言いながら、家族待合室を後にする。





アイツを待ち続けながら、俺は……今もベースの練習を繰り返す。



バンド活動は、確定メンバーは俺と隆雪の二人。
それ以外は、怜さんが手配してくれたメンバーに助っ人を頼みながら
音楽活動を地道に続ける。










理佳……早く戻って来い。
元気になって、また出掛けよう。 


2月は寒いから……暖かくなったら。




何時か……理佳と、
理佳のお父さんやお母さんとの間の傷を
俺が補って見せるから……。 




何があっても、
俺が理佳を守って見せるから……。








そんな祈りを抱きしめて、
俺は時を過ごし続けた。
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