君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】

13.卒業式とアイツの願い -託実-



2月。
アイツは集中治療室から病室に戻ってきたのに、
俺に会おうとはしなかった。

会える状況下にありながら、一方的に会うことを拒絶された現実は
俺をイライラさせて、隆雪や美加へと、愚痴らせていく。

そんな俺の愚痴を受け止めながら、
二人は俺の気が紛れるようにといろいろと配慮してくれた。


そんなアイツから、親父を通して俺宛にプレゼントが届いたのは
2月16日。


紙袋に詰め込まれたそれは、
アイツがデコレーションしたらしいチョコレートと、
マフラー。


チョコレートには、ゴメンネとアリガト。
突っ込みどころ満載の、よれよれの文字。

バレンタインには遅れたけど、
バレンタインのチョコのつもりかよ。


しかもゴメンネが、どんだけデカいんだよ。


謝るくらいなら、
とっとと俺を病室に入れろよっ!!


嬉しいのと苛立ちと、入り混じったような中で
頬張るアイツのチョコ。

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