君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】
「理佳が昨日、死んだんだ……。
でも俺、実感も何もないんだ。
29の18時からお通夜で、30日の9時から告別式だって。
今、アイツの親から親父宛に連絡が入ったんだ」
そうやって切り出した俺の言葉に、
隆雪は最初は凄く驚いていたけど、すぐに言葉を切り返した。
「なぁ、託実……俺たちの気持ち、
ちゃんと理佳ちゃんに届けろよ。
理佳ちゃんに最後、ちゃんとお前の演奏聴かせてやれよ。
俺も、理佳ちゃんが手伝ってくれた曲がどれだけ上手く演奏できるようになったか
ちゃんと報告したい」
そんな隆雪の一言で、俺たちは動き始めた。
ギターの隆雪とベースの俺。
ドラムは告別式の会場だから演奏出来るはずもなくて、
考えた結果、美加にキーボードで手伝って貰うことにした。
そして……、別れの朝。
俺たちは悧羅の制服姿に、腕に喪の腕章をつけて演奏した。
アイツが大好きだって、いってくれた
俺のベースの音。
子守唄だって、何度も何度もいってくれた
俺の音色。