君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】
8.衝突と恐怖 -託実-
バカ騒ぎしてた俺とアイツの病室。
ようやく、入院生活って存在に諦めが付いた
全国大会初日を終えた夕方、
俺の周辺は部活の奴らで賑わってた。
結果は第1試合、
敗退で終わったらしい全国大会。
『託実が居てくれたら、勝てたかもな』
仮定でも、そうやって言ってくれるのが
俺には優しかった。
俺抜きで、優勝をされるのが一番怖かった。
それこそ……、結果を出す前に
存在否定されるような気がして。
お見舞いに病院内のコンビニで袋いっぱいに
買いこんできてくれたお菓子やジュース。
入院して二週間。
今も俺の反抗期らしきものは続いていて、
毎日出される病院の食事には手を付けてなかった。
俺のお腹を満たしてくれるのは、
隆雪がこっそりとお見舞いの時に
差し入れてくれるおにぎり。
後はこうやって、
ダチが買ってきてくれるお菓子とかが
繋いでくれてた。
ぶっちゃけて言うと、毎日運ばれる病院食。
美味しそうに見えないんだよ。
プラスチックの飾り気のない容器に詰め込まれて
無機質に運び込まれても、美味しそうに見えない。
そんなもの、食べる気にもならない。