君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】
「約束だよ。
1時間後だからね」
「わかってる。
明日の院内リサイタル。
理佳ちゃんが演奏する時間に、都合がつけられたら出掛けるよ。
その時は、ショパンのノクターンをリクエストするよ」
「ショパンだね。
忘れなかったら、演奏してあげるよ。
それより先生も早く、仕事行かなきゃでしょ。
いい子にしてるから行ってきなよ」
そう言って笑って、宗成先生を見送ると途端にシーンと静まり返る病室。
少し広めの部屋に、ベッドは私の1台のみの病室。
ベッドに沈み込むように体を預けると、
私は再び、眠りの海へと引き込まれていった。
罪と罰。
今も2つの魔物を抱いたままに。