君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】




そのストラップを携帯に通して、
次の紙袋に手を伸ばす。


携帯カバー。


どれも私の為に用意してくれてるプレゼントだってことは
手に取るように伝わった。

この間の食器といい、携帯電話といい
この夏の私は貰ってばかり。


ずっと諦めていたことが叶ってる。
それでいいの?




「おぉ、終わったのか?
 携帯、気にいったか?」




そう言いながら、託実くんは
私の傍に近づいてきた。



「携帯、使い方わかんなかったら言えよ。
 お前よりは、詳しいと思うから」



そう言った託実くんは、私の手元の携帯を抜き取ると
自分の携帯電話を近づけて何かをしてた。


そして、何かのボタンを押す。



「ちぇっ。

 俺が一番乗りしたかったのに、
 兄貴たちの方が先かよ」



そう言いながら私に画面を見せる。



電話かけたいとき、このアプリを起動して、
電話帳のボタンを押して番号呼び出して発信。



そう言って手渡された携帯電話。


電話帳には、

裕先生・裕真さん・一綺さん。

そして今、登録してくれたのであろう
託実くんの名前が入ってた。


「かけてみな」


手われるままに発信ボタンを押すと、
託実くんの携帯がブルブルと震えだす。


何かのボタンを押して電話に出ると、
初めての携帯電話から、
一番近くに居る託実くんの声がスピーカー越しに聞こえてきた。



「よしっ。
 んで、次はメール。

 メールもこのアプリを使って、電話帳。
 メールアドレスを選ぶ」



託実くんは、
その後もずっと携帯電話の使い方を教えてくれた。


携帯電話は、いろんなことが沢山出来て
凄く楽しい感じがした。




一通りの使い方を覚えた後、
託実くんが、私の枕元の封筒に手を伸ばした。

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