君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】



言葉に乗せて吐き出す思いは、
更に涙を活発にさせる。


元弥くんからの手紙を託実くんに渡すと、
涙の代償で、呼吸困難に陥っていく体。

そんな私に優しく気遣う様に触れてくる託実くん。


「理佳ちゃん?
 託実くんどうかしたの?」



ふいに病室に駆けつけてきた、かおりさん。



過呼吸を起こしかけて、
思う様に話せない私の代わりに、
託実くんが、
元弥くんからの手紙を読んだ後だと説明してくれた。


「理佳ちゃん、先生に聞いて
 心がラクになるお薬、入れて貰おうね」



看護師さんはベッドサイドのボタンを押して、
何かを伝えてた。





心臓に負担がかかることは、
してはダメ。




そう言い続けられた私が、
こんなにも涙を流したのは
初めてかも知れなくて。





しょっぱさの中に温もりが伝う、
その雫は生きる温もりを教えてくれている
そんな気がした。




「まっ、アンタ鈍感そうだもんな。

 んじゃ、お休み」





また涙が止まり切らない私にそんな捨て台詞をはいて、
亀城託実は、自分のベッドへと戻っていった。





再び、薬の効果が作用して眠りに落ちるまで……
止まらない涙と、乱れる呼吸を感じながら
それでも何処か、暖かさを感じていた。


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