For Blue
ぼんやりと外の景色を眺めていると、
乗客達は次第に静かになっていった。

黒猫が駅を出たのが日付の変わる直前。
そこから一時間以上が経過していた。

乗り込んで来た当初は、偶然同じ車両に乗り合わせた仕事仲間との世間話を楽しむ声や、集団で乗って来た商売人達の喧騒で
うるさいくらいに賑やかだったが、

Bleu de jardinに着いたらすぐに仕事をしなければならない彼らは、ここにいる間に
しっかりと休んでおかなければならない。


座席に座れなかった人達は、器用に荷物を抱えたり、荷物を布団代わりにして小さく屈んで睡眠をとっている。


俺も実は眠たかった。
Bleu de jardinに行くことを思うと、気持ちが高ぶってここ最近よく眠れていなかった。


もう黒猫に乗ったんだ。
どう足掻いたってBleu de jardinに行くしかない状況になった。

不安に思うことなんて何もないはずだ。

俺は窓枠に肩肘をついてもたれたまま自然と目を閉じた。
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