For Blue
この手に何も残らなくても、今日の感情を、思い出を、大人になっても忘れたくない。

心にこの風景が宿り続けていれば、それは夢なんかじゃなく、自分の現実になる。


俺の見解はおかしいのだろうか。

やっぱり子供じみているのだろうか。

それでもこの地を見放した大人達のような、憂いた目を持ちたくないから、俺は信じたい。


あの青色の魚は、俺をずっとこの場所へ呼んでたんだって。


右に倣えで無感情に生きていた俺に、新しい日々をくれたのだと。



この世界に奇跡や運命なんて存在しない。

あるのは自分のしてきた結果だけだ。

分かってる。


分かってるよ。


けど、信じさせてほしい。


これは俺への合図。


偶然だなんて言わないでほしい。


夢から生まれた奇跡を信じたいんだ。



そのための一歩を繰り出す。


帰る頃、俺はあの魚に近づけているのかな。
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