For Blue
あ、そうそう、言い忘れてたけどあたし、実は結構な長生きなのよ。

ここにいて、色んな人達の成長を見てきたわ。

ちょっと前まで小さな子供だったのに気がついたら結婚なんてしててその子が自分の子供を見せにくるなんてこともあるの。

人間の成長ってすごいわよね。


だけどひとつ、変わらないことがあるのよ。

それはね、
いつの人達も皆、あたしのことを綺麗だねって言ってくれるの。

まぁ、この容姿ですもの、当たり前のことだけどね。
美しいものは誰が見たって美しいってことかしら。


「やあ、レディ！」

「あら……貴方ひょっとして」


あたしの名前を呼びながら、港に続く緩やかな坂道を降りてきた青年に見覚えがあった。
最後に会ったのは、彼がまだ小さな少年だった時だっから最低でも十年は経ってるのかしらね。


「久しぶりだね。」

「ええ、本当に久しぶりだわ。貴方が前にここに来たの、十年くらいまえじゃない？大きくなったわね」


思い出してきた。そう、確か何かの病気で長い間入院をしないといけなくて、その前に海を見に来たって言ってたのが最後だったわね。

あたしの記憶力の良さ、自分でも脱帽ものだわ。
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