For Blue
sounds of July
6月。


下の世界では雨の多い時期。



そう教えてくれたのは誰だったかしら。

それとも何かの本で読んだことかしら。



毎日毎日雨が降るなんて考えられないわ。
きっと色んなものが湿り気を帯びて重たくなる。

私のこの羽根も上手に広げられなくなるわね。
そしたらどこにもいけなくなってしまう。

けれど、それは今の私と何も違わないかもしれない。
飛べない羽根など、あっても意味がない。


ここは、私にとって『6月の国』――。

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