For Blue
ふと、あの不思議な歌声が聴こえた。


『愛おしい人 始まりの歌』


あの歌の最後のフレーズ。それが、何回も、何回も。

声はどこから聞こえているの?


ああ、金平糖、いくらでもあげるわ。
だから教えて、この気持ちの正体を。


手を広げると幾つも金平糖が舞った。ふわりと浮かんでは消えていく。

金平糖が舞うように、私もくるりと回った。

そして、星のように浮かぶ金平糖の先、私は鳥籠の出口を見つけた。


どうして今まで分からなかったのかしら。こんなに近くにあったのに。
駆け寄って、格子の扉に触れてみると簡単に開いた。
私はここを出てはいけない。それが決まり――でも。


『終わりは 始まり』


初めて聴く歌に背中を押された。
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