For Blue
鳥籠を出た先は草原だった。

多分、これが草原というもの。本で読んだことがあるわ。
足の裏にちくちくと当たる。そう、草ってこんな感触なのね。それに暖かい。
上を見上げると太陽が輝いている。太陽の光って暖かいのね。草が暖かいのは太陽のせい?

空気が動いてる。これが風ね。匂いがある。どこから――街の向こうの海?


すごい、すごい、外は全て動いているのね。生きているんだわ。


一歩ずつ、私は歩き出した。
でこぼことした地面は鳥籠のつるつるの床と違って歩きにくくて、よろけながら私は笑ってしまった。
笑えたんだわ、私。


少し進んで私は街を見下ろした。
どこに行けばいいのかは、分かっているの。

一歩、進むたびに心がどきどきする。
それは私が真実に近づいている証。
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