For Blue
週末になると、レディ・ゲートの脇に立って列車が港に着くのを待つのがいつの間にか日課になってた。

何本も何本も見送って、ようやくマナを見つけて、僕に向けてくれるお日様みたいに明るい笑顔が何より嬉しかった。

ここだけの話、最初のうち、顔を赤くする僕をからかうようにレディはよく肘でつつかれてたんだよ。

「私のドレスよりは赤くないから安心しなさい」

なんて、フォローなのかどうなのかよく分からないことも言われながらね。
そんな風に顔に出てしまうくらい、いつの間にか僕はマナのことが好きになっていた。

いつも、下に帰る時マナは「ここから出ることは出来ないの?」って寂しそうに僕に聞いていたね。
僕もね、マナが帰る時はとても寂しかった。「ここにいることは出来ないの?」っていつも思ってた。
僕の手を離して、君が他の観光客と一緒に列車に乗り込んでいくのを見るのがいつも辛かった。

bleu de jardineのものは全て、下に行くと幻のように消えてしまうから、マナの手元には何も残せなくて。

きっと悲しい思いも、我慢も、マナの方が沢山しているのはわかっている。
でもね……」


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