For Blue
満月祭の夜は、bleu de jardineの中央広場の真上に満月が昇る頃、舞を披露するのが恒例となっている。
月明かりと美しい音楽、煌びやかな舞は幻想的で、観光客からもとても人気が高く、満月祭の メインイベントともいえるものだ。
エリカはカイの恋人の名前。
彼女はbleu de jardineの娘の中からその踊りを披露する役に選ばれたのだ。
それはbleu de jardineの女性達にとってとても誉れ高いことであり、カイも選ばれた時から、まるで自分のことのように喜び、あちらこちらに自慢していた。
「じゃあ、なるべく早く切り上げるように頑張るよ。もし合流出来なくても見るようにする」
「おう、頼むな。合流できたらステージ終わってから3人で夜店とか見て回ろうな」
「……ん」
三人で、というカイの言葉にリオンの表情が少し曇る。
それをカイは見逃さなかった。
「マナちゃんも来れたら良かったのにな。仕事、忙しいんだっけ」
リオンは苦笑いで応えてみせた。
何と返したらいいか分からず、カイは難しい顔で頭をかきながら中空を睨んで小さな唸り声をあげる。
「まあ……あれだ。リオンもあんまり根つめて働きすぎるなよ。いざマナちゃんがこっちに来たときにお前がダウンしてたら世話ないからな」
「そうだね……ありがとう、カイ」
まだ何か言いたげなカイを遮るように、リオンは立ち上がって体を大きく伸ばした。
「さて、僕はそろそろ作業に戻るけど、カイはいいの?今日は非番?」
「いや、実はめっちゃ勤務中。配送の途中で寄ったところだったりして」
「……カイはもう少し根詰めて仕事した方がいいんじゃない?」
苦笑いを浮かべながらカイは工房を後にした。
程なく、外から自転車が遠ざかる音が聞こえた。
月明かりと美しい音楽、煌びやかな舞は幻想的で、観光客からもとても人気が高く、満月祭の メインイベントともいえるものだ。
エリカはカイの恋人の名前。
彼女はbleu de jardineの娘の中からその踊りを披露する役に選ばれたのだ。
それはbleu de jardineの女性達にとってとても誉れ高いことであり、カイも選ばれた時から、まるで自分のことのように喜び、あちらこちらに自慢していた。
「じゃあ、なるべく早く切り上げるように頑張るよ。もし合流出来なくても見るようにする」
「おう、頼むな。合流できたらステージ終わってから3人で夜店とか見て回ろうな」
「……ん」
三人で、というカイの言葉にリオンの表情が少し曇る。
それをカイは見逃さなかった。
「マナちゃんも来れたら良かったのにな。仕事、忙しいんだっけ」
リオンは苦笑いで応えてみせた。
何と返したらいいか分からず、カイは難しい顔で頭をかきながら中空を睨んで小さな唸り声をあげる。
「まあ……あれだ。リオンもあんまり根つめて働きすぎるなよ。いざマナちゃんがこっちに来たときにお前がダウンしてたら世話ないからな」
「そうだね……ありがとう、カイ」
まだ何か言いたげなカイを遮るように、リオンは立ち上がって体を大きく伸ばした。
「さて、僕はそろそろ作業に戻るけど、カイはいいの?今日は非番?」
「いや、実はめっちゃ勤務中。配送の途中で寄ったところだったりして」
「……カイはもう少し根詰めて仕事した方がいいんじゃない?」
苦笑いを浮かべながらカイは工房を後にした。
程なく、外から自転車が遠ざかる音が聞こえた。