For Blue
「こんなところかな」


ペンを置いてリオンは一息ついた。

便箋を折って封筒に入れながら、作業台の隅に置かれた瓶に視線をやった。
厚みがばらばらで、いびつなガラスの瓶。

その中に手紙を入れた。


「どうか、成功しますように」


蓋をして、コツンと額に瓶を触れさせる。

このガラス瓶はマナが下の世界から持ってきたもの。
彼女がまだここに頻繁に出入りしていた頃に作ったものだった。


「下で作った入れ物の中に詰めたら、ここのものを持って帰れたりしないかな」


いたずらっぽく笑ってリオンにこの瓶を差し出した。

この考えを試したくて、何を入れて帰ろうか考えているうちにマナはbleu de jardineに来る時間が段々と作れなくなっていった。
その後も、残された瓶を見てはリオン一人、ずっと考え続けていた。

そして彼はようやく決めたのだった。


彼女に会って、一番最初に渡したいものを入れようと。


リオンはもう一度手紙の入った瓶を眺める。
薄い青色をしたガラス越しの世界は、まるで海の底のようだった。


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