For Blue
夜が明け、満月祭が始まった。

bleu de jardineは朝から下からの観光客が大勢押し寄せ、活気に溢れた。

露店が港の入り口から中央広場まで軒を連ねるように並び、踊りだしそうなほど陽気な音楽が響き渡る。
道行く人々は皆、その音楽につられるように浮き足立ち、誰しもが笑顔で街の中に溶け込んでいた。

リオンはと言えば、夜が明けるまで自分の手元にある仕事に向き合い続け、日が昇る頃にふらふらと家に戻り、外の喧騒など気にも留めず倒れこむように寝入っていた。


安心しきった寝顔は、全ての仕事を終えたことを物語っていた。


家の外を数人の子どもが声をあげ、はしゃぎながら通り過ぎたのでリオンは不意に目を覚ました。

日は傾き、部屋の中は茜色に染められていた。
まだ重たいまぶたをこすりながら窓を開ける。

少し湿気った、熱の冷めた夕方の風がリオンの頬をなでるように吹き込んできた。
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