For Blue
リオンの家は時計塔よりははるかに低くはあるが、bleu de jardineの中では高い位置にある。

家の窓からは港が見下ろせた。


見れば、ちょうど港の灯りが点るところだった。
この後は港を出発点にして、門から街へと向かって辺りが暗くなるにつれ、外灯が点き始める。

その光は、満月祭の時だけは特別に月明かりを模した青白いものへと変わる。

日が落ちて月が真上に来る頃には、青白い光がbleu de jardine全体を照らし、まるでbleu de jardineそのものが、もう一つの月のように輝きに満ちる。


「時間まであともう少し」


独り言とともに窓を閉める。


夕刻から夜へと移り変わり、リオンは家を出た。


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