For Blue
港まであともう少しの所で脇道から大通りへと出た。
港からはまだ沢山の観光客が広場へと向かう人波を作っている。
リオンは少しうんざりしながら流れに逆らうように港へと向かう。
――普段だったら港に出るまでこんな苦労はしないのに。
しかし、リオンは自身の否定を打ち消す。今日でなければいけないのだ、と。
少し前方に港とbleu de jardineを分ける門が見えてきた。
漆黒の格子に金細工と深紅の宝石が散りばめられた美しい門扉。
その門に寄りかかるようにして、行き交う人々を見つめる女性が一人。
漆黒の髪、深紅のドレス。
彼女こそが港の門番のレディ。
僅かな不審をすぐに見抜く彼女によって、bleu de jardineの平和は保たれていると言っても過言ではない。
bleu de jardineから出るという発想のないはずの住人が、人のまばらな時に彼女の前を通れば、すぐに咎められるのは目に見えていた。
だからこそ、彼女の視線を少しでも分散出きる様にと、沢山の人が行き交うこの日をリオンは選んだ。
港からはまだ沢山の観光客が広場へと向かう人波を作っている。
リオンは少しうんざりしながら流れに逆らうように港へと向かう。
――普段だったら港に出るまでこんな苦労はしないのに。
しかし、リオンは自身の否定を打ち消す。今日でなければいけないのだ、と。
少し前方に港とbleu de jardineを分ける門が見えてきた。
漆黒の格子に金細工と深紅の宝石が散りばめられた美しい門扉。
その門に寄りかかるようにして、行き交う人々を見つめる女性が一人。
漆黒の髪、深紅のドレス。
彼女こそが港の門番のレディ。
僅かな不審をすぐに見抜く彼女によって、bleu de jardineの平和は保たれていると言っても過言ではない。
bleu de jardineから出るという発想のないはずの住人が、人のまばらな時に彼女の前を通れば、すぐに咎められるのは目に見えていた。
だからこそ、彼女の視線を少しでも分散出きる様にと、沢山の人が行き交うこの日をリオンは選んだ。