For Blue
徐々に二人の距離が縮まっていく。

リオンと呼ばれた青年は、柔らかな笑顔で両腕を広げた。

その姿に、箍が外れたように真奈美の目からは涙が次々と零れた。


「――っ！」


もう一度呼ぼうとした名前は、嗚咽になって喉の奥に消えていく。

それでも、目の前のリオンは消えることなく真奈美を待っていた。


最後の一歩を二人の距離を取り払うように、真奈美は広げられた腕の中に飛び込む。

強く抱き締めたリオンの体は、しっかりと真奈美を受け止めた。

頬を押し付けた服越しの肌の温かさと、慈しむように背中に回された腕が、真奈美にこれは夢ではなく現実なのだと優しく囁く。


あの日流せなかった涙が、ようやく戻ってきたかのように真奈美の流す涙は止めどなかった。


リオンの首に回された手の中で揺れる耳飾りが、陽光を反射して青色を散らしている。
その光で真奈美の涙も青色に染まった。


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