For Blue
その澄んだ青色を、優しい歌声を、目が醒めても覚えている。


自分自身を慰めるために、自分が作り出した夢なんだろう。

けれど、その夢を見て朝を迎えると、塞いだ気持ちが和らぐと同時に
あの青色を手に入れたいと強く思った。
愛おしくてたまらなかった。


あの魚はきっと俺の憧れだ。


毎日毎日、繰り返し、学校と家の往復。
決して面白くも無い友達との会話や勉強。
クラスの中で突出しないように。
周りと同じ意見を持つように息を潜めて生活する。

俺は魚は魚でもきっと、地中に潜り、息を潜める深海魚みたいなものだ。


夢の中一匹で泳ぐあの美しい魚には到底なれない。
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