For Blue
目の前の出来事に呆気に取られる少年の手を、少女は握りしめた。


「大丈夫」


少年が驚いて振り向くと、少女の顔からは一切の憂いが消え、初めて見た時と同じくらいに眩い笑顔を湛えていた。


「なくなったんじゃない。戻ってきたの――目に見えないだけで」


少女の笑顔に答えるように少年は頷き、少女の手を握り返す。



どこからか歌が響いた。

今度は少年の耳にもはっきりと聞こえる。




終わりは 始まり




見上げた空が知っている空よりも深い青色に見えるのは、海の青を映しているからなのか、
この心に願う気持ちが、金平糖が跳ねるようにぽつりと灯ったせいなのか。

答えは出さないまま、少年は少女と歩き出した。





僕達は生きていく明日の奇跡を夢見て。





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