溶けたクラゲはどこへ向かうか
プロローグ。
「クラゲはね、死ぬと水に溶けて消えるんだって」
確かあれは、夏休みに入る前の少し暑い日だった気がする。
彼女、緒方まゆみは唐突にそんなことを言いだした
クラゲは死ぬと水に溶ける
「どこの知識?」
「てれび!」
「…だろうな」
夕日を背に無邪気に笑ったまゆみ、唐突な話に俺は驚く。
(もしかしたら暑さで頭をやられたか。)
年々上がっていく気温にそれもあり得るのかもしれない
「あ、アイス溶けてるよ!」
言われて、手に持っていた買ったばかりのアイスキャンディが溶けてそれが腕を伝うのに気づく。糖質の多く含むアイスはべたべたして気持ちわるい。
「あああ、夏のアイスほど食べずらい物はないな。まじで」
袖に染み付いた鮮やかな青にげんなりする、これ染みになったら怒られるだろうな。
「ふふ、将太はアイス食べるの下手だね。私なんてもうプロ級なんだから!」
さっそく溶けだしたアイスを舐めるまゆみ。それだけの動作に少しどきどきして、幼馴染み相手に何を考えてるんだと頭を抱えたくなる
「…だから、少し太ったのか?」
「……」
「すみませんでした」
図星なのだろう
あからさまに落ち込む様子は素直に謝るざる終えない。