溶けたクラゲはどこへ向かうか
「う、海!」
「は?」
「八月の最初の日曜日、海にいこう」
突然大声を出すから、凄くビックリした。
「それまでに体重戻して、いや寧ろ痩せて綺麗になるんだから!」
「…お前泳げないだろうが」
去年の休みに茜や佳を連れて四人でプールに行ったことを思い出す。中高とプールの授業がなかったせいかまゆみは泳げなくて、高二にして水玉の浮き輪装備だったのだ
(佳が凄くバカにしていたっけ、)
「れ、練習するから大丈夫だもん」
「はいはい、浮き輪忘れんなよ?」
「…泳げるようになったらかき氷奢ってもらうからね!茜ちゃんの分も入れて、一番高いサンデーのやつ…!」
脳裏にかき氷なんてもはやおまけのような、アイスやら生クリーム、ソースにフルーツとパフェのような甘そうな食べ物を思い出す。あれって確か九百円ぐらいだよな?
何より、
(お前は痩せたいんじゃないのか!)
呆れて、思わず笑うとまたまゆみは怒った。
まゆみは家族の次、もしかしたら同等の関係ほどに身近な存在となっていた。友達以上恋人未満なんて言葉を聞くが、
の二つも越える深いなにか
ずっと、こんなだらだらした関係がこの先ずっと続くのだと俺は思っていた。
「八月まであと十日、か」
まゆみと別れて家につくと、早速部屋のカレンダーを捲って八月の日曜日に大きく赤丸をつける。
(…茜と佳も誘っとかないとな)
まゆみは昔から企画をたてるわりに、幹事はいつも俺だった。待ち合わせとか時間とか、色々
(今年は受験だし、しっかり計画立てないと)
この時、本当は海に行く約束なんてするべきではなかったのだ。
そしたらまゆみは"死なずに"すんだのだろう