溶けたクラゲはどこへ向かうか
くらげ。
「将太、遅いよ…ッ!」
海につくと、そこは茜と佳を除いても沢山の人で溢れかえっていた。話によれば、まゆみは昨日ここで泳ぐと言ったきり帰ってこないらしい。
「きっとこんなに海が荒れているようじゃ、死んじまっただろうなあ。」
「!」
警察の一人がそんなことを呟いたのを聞いて、頭に怒りで血が昇る。けして彼に悪気があったわけではない
(そんなこと、皆思ってるんだ)
怖くて、口に出さないだけ。また泣き出してしまった茜、佳が飛びかかろうとするのを俺は力づくで止めた
「ッなんでお前そんな落ち着いてるんだよ」
「今ここで争ってもまゆみは見つからない、争って無駄な体力使うならまゆみを探した方がいいに決まってる…!」
久しぶりに大声をだして、息が苦しくなる。
佳も落ち着いたのか、少し俯いてから小さく謝まった。
「…まゆみ、何で一人で海なんかに行っちゃったの?」
「ッ」
言葉に顔から血の気が引く。
(俺の、せいだ)
「…ごめん」
「?」
「ほら、二人ともまゆみ探すぞ!まゆみのことだからもしかしたら、近くの砂浜でちゃっかり寝てるのかもしれないしな」
無理に明るく、カラ元気を出す佳。
最悪は事態をみんな、考えないようにしているのだ
まゆみが死ぬという、事態を。