王子様と恋したい
「じゃあ、夏希ちゃんはあそこの席に座ってね?」
近藤先生が言った窓側の後ろから2番目の席に腰を下ろした。
みんなの視線が正直痛い。
というか、うざい。
「はぁ…」
一人ため息をついてHRが終わるのを待つ。
というか、この席…おかしい。
わたしの周りの5つの席は何故か空席。
前も、後ろも、斜め前も、斜め後ろも、真横も…誰もいない。
まぁ、ヤンキー校だからサボってても当たり前か…
いてもいなくても変わらないし。
HRが終わり、軽く欠伸をしわたしは寝る体制に入ろうとすると…
『おい!あいつかよ転校生って!』
『やべぇ、俺の女にしてぇ!!』
『今こっち見たぞ!めっちゃ可愛いんだけど!!!』
廊下には、人、人、人…
どうせ興味本位で見に来たんだろう。
うるさい。迷惑だ。
ガタッ
わたしは視線に耐えられず、席を立ち教室を出た。
出る間際に話しかけられたけど、「うるさい」と笑顔で言ってやった。
その男が顔を真っ赤にしていたなんて知りもしない夏希だった…