王子様と恋したい
ガシャン
わたしはなるべく人目を避けたいがために、裏口のサビついたドアを開けた。
「よし、誰もいない。」
まだ朝の5時30分。
流石に部下たちもいなかった。
わたしは淡々と階段をあがり、幹部室のドアへと手をかけた。
ガチャ
「あれ…?誰もいない…?」
少し安堵し、わたしは中の1番大きなソファへと腰をかけて被っていたフードを取った。
それにしても、おかしい…
かず兄がいると思ったんだけどな〜
まぁ、いっか。後でで~。
そんな事を思っていたら急に背後から声がした。
「みぃ〜たぁ~なぁ〜~〜」
ビクッ
不覚にも少しびっくりしたものの、後ろにいたのは黒の長髪カツラを被ったかず兄がいた。
ガシッ
わたしが顔面を鷲掴みすると、手足をバタつかせ苦しそうに暴れ出した。
さすがに可哀想だったから、離してあげる。
「ぷはぁ〜〜〜!!苦しいじゃんか!夏希!!!!」
嬉しそうな笑顔でわたしに近づいてくるわたしの兄。
お前はMか!苦しいとかいって喜ぶな。
ん…待てよ。
今日の兄の笑顔は、、、、
目が笑っていなかった。