唇が、覚えてるから
「私達はそこまで出来ないのよ!」
目にはものすごく怒りが込められていた。
「あなたはいいわよ。中山さんの幻想にのんびり付き合っていられるお気楽な実習生なんですから」
「……」
「最近は、私が行ってもろくに返事もしてくれないのよ?それはどうしてだかわかる!?」
「……そ、それは……」
軽く打ちのめされながらも、なんとか言葉を落とすと。
「あなたのせいよ!!」
張り詰めたその声が、私を凍りつかせた。
……私の……せい?
「どうせあなたなんてあと少しで離れる現場でしょ?あなたがいなくなった後のフォローは誰がするの?かき回すだけかき回しておいて、たまったもんじゃないのよ!」
「……」
ガツン、と頭を殴られたような気がした。