唇が、覚えてるから
空気を読んでほしいよ……。
私だって、海翔君に祐樹のことを聞きたいのは山々だったけど、我慢したのに。
すると。
「そんな人がいるんだ~。私も会いたかったな~」
「樟大附ってやっぱレベル高っ!」
「ねぇねぇ、今度そのユーキくんって人も誘って一緒に遊ぼうよ!」
盛り上がる女子。
話題は一気に祐樹へと変わる。
そしてここぞとばかりに、希美はとんでもないことまで口にした。
「祐樹君て彼女いるの?」
ちょっと希美!
余計なこと聞かなくていいから!
しかも私をチラチラ見ながら。
そんなこと。
……知りたくないのに。