唇が、覚えてるから

どうして私と毎日会ってくれているのか、理由なんて聞いたことない。

彼女気取りなわけでもない。

友達関係、学校の話も聞いたことない。

私はまだ、祐樹のほんの一部しか知らない。

これでもし彼女がいるって言われたら。

もう、立ち直れなそう…。


「いや……いない」


いない……?

でも、そんな哲平君の答えにホッとしたりして。


「これで琴羽が遊ばれてるわけじゃないって証明できたね!」

「…っ!?遊ばれるもなにも、元々なにもないもん!」


希美は私が遊ばれてるとでも思ってたの?

別に付き合ってるわけでもないのに、余計なお世話だ。

こんなところでバラされたことに焦って、思わず言い返した。
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