唇が、覚えてるから
「なになに?琴羽とその彼はデキてるわけ?」
「なぁーんだぁーつまんなーい。けど、今度紹介してね」
相変わらず祐樹の話題は終わらなくて、盛り上がり続ける女子。
「……」
反対に、完全に沈みきった男子メンバー。
「ちょっとみんなっ!」
その様子を察して、私は声をあげた。
……それはそうだ。
合コンで、ここにいない男子のことを話題にして盛り上がったら、白けるのも当然。
「もうその話はいいじゃん。ねぇ?」
この話をおしまいにするためにそう言い切ったのに、
「琴羽ちゃん、祐樹を知ってるの?」
海翔君にまでそう言われ、戸惑う私。
「あの……それは……」