唇が、覚えてるから
「出よっか……」
この空気を断ち切るように哲平君が立ちあがる。
それに続いて、他の男の子達も賛同するように立ち上がった。
……海翔君も。
一気に気まずくなる私達。
───そして数分後。
私達女子5人は、カラオケ屋の前にポツンと取り残された。
結局気まずい雰囲気は戻ることなく、合コンがお開きになってしまったのだ。
「私、余計なこと言っちゃったね。ごめん……」
希美はすごく落ち込んでいた。
「多分彼らは、祐樹君と対立グループとかなんじゃない?海翔君もあんまり喋ったことないって言ってたし。そりゃ面白くないよね。私達も悪かった」
「そうそう。この失敗を次に生かそう」
「あー。でも逃した魚はデカイな~」
「また今度違う樟大附の男の子と合コンしよ。琴羽の彼に頼んでさ!」
希美以外はみんなすぐに立ち直っていた。
祐樹の話題から雰囲気が悪くなったことに、私はかなり罪悪感を覚えてしまった。