唇が、覚えてるから

祐樹はいつだって、私の気持ちに寄り添ってくれる。

価値観の分かり合える人。

だから、なんでも話せるんだ。


「そっか」

「今だけの感情で動いちゃいけないっていうのも確かに正しいし、本当に患者さんのための看護がどういうことなのか。それも勉強になった。
その中で私が出来る看護、したい看護を探っていくのが今後の目標なの」

「やっぱり琴羽はポジティブだな」

「はははっ。だって毎日広い海見てたら悩みなんて抱えてる暇もなかったよ。いつだって、この海を見てなんでも出来るって意気込んでたんだから。

忘れてたけど、看護師になったら患者さん全員を助けるんだなんて大きい夢を見てたこと思い出した」

「それってこの海よりデカイ夢じゃね?さすが琴羽だな」

「夢はいつだって大きく見なきゃ。だってタダだもん」


満面の笑みでピースを作った。
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